不動産の売却を検討されている方にとって、適正な査定価格を知ることは成功への第一歩です。しかし、初めての不動産売却では「どこに査定を依頼すればいいの?」「査定価格は信頼できるの?」といった疑問も多いでしょう。本記事では、マンション・土地・家それぞれの査定ポイントから、信頼できる査定会社の選び方、さらには査定価格を最大化するコツまで、不動産売却の査定に関する情報を網羅的に解説します。
不動産売却は「査定」から!成功に導く5つのステップ
不動産売却を成功させるには、適切な査定から始まる一連のステップを理解することが重要です。多くの方が査定価格の妥当性を判断できずに損をしてしまうのが現実です。
不動産売却の成功への道のりは次の5つのステップで構成されます。まず第一に、複数の不動産会社から査定を取得し、市場価格の相場感を掴むことから始まります。次に、査定結果を比較検討し、根拠が明確で信頼できる会社を選定します。第三に、選定した会社と媒介契約を締結し、販売活動をスタートさせます。第四に、購入希望者との価格交渉を経て、売買契約を締結します。最後に、決済・引き渡しを完了させることで売却が完了します。
特に重要なのは最初の査定段階です。ここで適正価格を把握できないと、相場より安く売却してしまったり、逆に高すぎて売れ残ってしまうリスクがあります。そのため、複数社への査定依頼と比較検討が欠かせません。
不動産査定とは?目的と2つの種類を解説
不動産査定は、専門家が物件の市場価値を算出するサービスです。売却価格の設定や資産価値の把握など、様々な目的で活用されています。査定には「机上査定」と「訪問査定」の2種類があり、それぞれ特徴が異なります。
なぜ必要?不動産査定の目的と重要性
不動産査定の最大の目的は、物件の適正な市場価値を把握することです。不動産は一つとして同じものがなく、立地や築年数、設備などによって価値が大きく変動します。
たとえば、同じマンションでも階数や向き、リフォーム状況によって数百万円の価格差が生まれることも珍しくありません。また、売却タイミングによっても市場価格は変動するため、現在の相場を正確に把握することが重要になります。
査定を行うことで、適正な売却価格の設定が可能になり、早期売却と高値売却の両立が実現できます。逆に査定を怠ると、相場より大幅に安い価格で売却してしまったり、高すぎて長期間売れ残るリスクがあります。
「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」の違いと選び方
机上査定は、物件の基本情報と周辺の取引事例をもとに算出する簡易的な査定方法です。短時間で結果が得られる反面、実際の物件状態は考慮されないため、精度には限界があります。
一方、訪問査定は不動産会社の担当者が実際に物件を見学し、詳細な調査を行って算出する精密な査定です。建物の状態や周辺環境、日当たりなどを直接確認するため、より正確な価格が算出できます。
選び方のポイントは、まず机上査定で大まかな相場を把握し、その後に3社程度に訪問査定を依頼することです。この方法により、効率的かつ精度の高い査定が実現できます。売却を急がない場合は机上査定のみでも十分ですが、実際に売却する際は必ず訪問査定を受けましょう。
【土地・家・マンション】物件種別ごとの査定方法と評価ポイント
物件の種類によって査定方法や重要視される評価ポイントが大きく異なります。土地は立地と面積、家は建物の状態、マンションは管理状況がそれぞれ価格に大きく影響します。各物件種別の特徴を理解することで、より精度の高い査定が期待できます。
土地の査定:路線価や周辺の取引事例から価値を算出
土地の査定では、路線価と周辺の実際の取引事例が主要な判断材料となります。路線価は国税庁が毎年発表する土地の標準的な価格で、相続税の計算などにも使用される公的な指標です。
具体的には、路線価に土地の面積と形状補正率を掛け合わせて基準価格を算出します。ただし、路線価は実勢価格の80%程度に設定されているため、実際の取引価格とは乖離があります。そこで重要になるのが、近隣の類似土地の売買事例です。
たとえば、角地や南向きの土地は日当たりが良く利便性が高いため、通常の土地より10-20%程度高く評価されます。一方で、不整形地や接道状況が悪い土地は減額評価となることがあります。査定時は、これらの個別要因を総合的に判断して最終的な評価額が決定されます。
家(戸建て)の査定:土地の価値+建物の価値(築年数が影響)
戸建て住宅の査定は、土地価格と建物価格を分けて算出し、それらを合計した金額になります。築年数による建物の価値減少が査定額に大きく影響するのが特徴です。
建物部分の査定では、構造や建築年、設備のグレードが重要な評価ポイントになります。木造住宅の場合、築20年を超えると建物価値がほぼゼロに近づくとされていますが、適切なメンテナンスがされていれば一定の価値は認められます。
たとえば、築15年の木造住宅でも、外壁塗装や水回りのリフォームが施されていれば、メンテナンス状況を評価して査定額がアップする可能性があります。また、耐震基準を満たしているかどうかも重要で、新耐震基準(1981年以降)に適合している物件は安全性の観点から高く評価されます。
マンションの査定:立地や階数、管理状態が価格を左右
マンションの査定では、立地条件と管理状態が価格決定の重要な要因となります。駅からの距離や周辺環境、階数や向きなどの個別要因に加え、管理組合の運営状況も評価対象です。
階数による価格差は一般的に、1階上がるごとに1-3%程度の価格差が生まれるとされています。また、南向きの部屋は日当たりが良いため、北向きの部屋と比べて5-10%程度高く評価される傾向があります。
管理状態の評価では、修繕積立金の残高や大規模修繕の実施状況、管理費の滞納状況などがチェックされます。たとえば、修繕積立金が不足しているマンションは将来的な修繕費負担が重くなるため、査定額が下がる要因となります。逆に、適切な管理がされているマンションは資産価値の維持が期待できるため、高い評価を受けやすくなります。
どこに頼む?不動産査定の依頼先とおすすめの方法
不動産査定の依頼先は大きく分けて不動産会社への直接依頼と一括査定サイトの利用があります。それぞれメリット・デメリットがあるため、自分の状況に合った方法を選択することが重要です。最近では匿名で利用できるサービスも登場し、選択肢が広がっています。
不動産会社への直接依頼と一括査定サイトのメリット・デメリット
不動産会社への直接依頼は、信頼できる会社が既に決まっている場合に適した方法です。地域密着型の会社なら地元の相場に詳しく、大手なら豊富な取引実績とノウハウを活用できます。

一括査定サイトの最大のメリットは、一度の情報入力で複数の不動産会社に査定依頼ができることです。各社の査定額を比較することで、適正な相場価格を把握しやすくなります。
ただし、一括査定サイトを利用すると複数の会社から営業電話がかかってくるため、対応が煩わしく感じる方もいらっしゃいます。このデメリットを理解した上で、効率的な査定比較を重視するかどうかで選択することが大切です。
【イエウール・SUUMO等】主要な不動産一括査定サイトを比較
主要な一括査定サイトにはそれぞれ特徴があり、提携会社数や対応エリア、利用しやすさなどが異なります。自分の物件所在地や求める条件に合ったサイトを選ぶことが重要です。
イエウールは全国1,600社以上の不動産会社と提携し、地方の物件にも対応している点が特徴です。一方、SUUMOは大手リクルートが運営し、知名度の高い不動産会社が多数参加しています。
HOME4Uは日本初の一括査定サイトとして20年以上の運営実績があり、厳選された優良企業のみが参加している点が安心材料です。また、各サイトとも査定依頼は無料で利用でき、個人情報の取り扱いにも配慮されています。利用前に各サイトの特徴を比較し、最も適したサービスを選択しましょう。
営業電話なし?手軽な「匿名査定シミュレーション」とは
匿名査定シミュレーションは、個人情報を入力せずに概算査定額を確認できるサービスです。AIが過去の取引データを基に自動で価格を算出するため、営業電話を受けることなく手軽に利用できます。
具体的には、物件の種別や所在地、築年数、間取りなどの基本情報のみを入力するだけで、即座に査定結果が表示されます。ただし、物件の個別状況は考慮されないため、実際の査定額とは差が生じる可能性があります。
このサービスは「まずは大まかな相場を知りたい」「売却を検討し始めたばかり」という方に適しています。本格的な売却を検討する際は、やはり専門家による詳細な査定が必要になりますが、最初のステップとしては非常に有用なツールといえるでしょう。
査定で損しない!不動産を高く売るための3つのコツ
不動産査定で適正価格を引き出すためには、いくつかの重要なポイントがあります。複数社への査定依頼と比較検討は基本中の基本ですが、訪問査定前の準備や専門家への相談も査定額向上に効果的です。これらのコツを実践することで、あなたの不動産の真の価値を最大限に引き出すことができます。
必ず3社以上を比較し、査定価格の根拠を確認する
査定額の妥当性を判断するためには、最低でも3社以上からの査定を取得することが重要です。1社だけの査定では、その価格が適正かどうか判断できません。
各社の査定額だけでなく、なぜその価格になったのかという根拠を必ず確認しましょう。信頼できる不動産会社は、周辺の取引事例や物件の特徴を具体的に説明し、査定額について明確な理由を示してくれます。
たとえば、A社が3,000万円、B社が3,200万円、C社が2,800万円という査定結果が出た場合、単純に最高額を選ぶのではなく、それぞれの根拠を比較することが大切です。極端に高い査定額を提示する会社は、契約獲得のために意図的に高めに設定している可能性もあります。適正な相場価格を見極めるためにも、複数社の意見を総合的に判断しましょう。
訪問査定の前に準備すべきこと・アピールすべきこと
訪問査定では、物件の状態を最良の形で見せることが査定額向上のカギとなります。事前の清掃や整理整頓はもちろん、物件の魅力を効果的にアピールする準備が必要です。
• 室内の清掃と不用品の整理で、広々とした印象を演出する • 設備の不具合や修繕箇所は事前に把握し、正直に伝える
具体的には、リフォーム履歴や設備の交換時期、近隣環境の利便性など、物件の付加価値になる情報を整理しておきましょう。たとえば、「駅まで徒歩5分だが、実際は信号待ちが少なく3分程度で到着できる」といった実体験に基づく情報は、査定担当者にとって有用です。
また、マンションの場合は管理費や修繕積立金の明細、戸建ての場合は境界確定の書類など、必要書類を事前に準備しておくことで、スムーズな査定が可能になり、担当者の印象も良くなります。
古い家は更地にするべき?不動産会社への相談ポイント
築年数が古い戸建て住宅の場合、建物を解体して更地にするか、現状のまま売却するかという判断が必要になることがあります。この判断は物件の状況や立地条件によって大きく異なるため、専門家のアドバイスが重要です。
更地にするメリットは、買主が自由に建物を建築できることと、土地の状況が明確になることです。一方で、解体費用(100-200万円程度)がかかることと、住宅用地特例が適用されなくなり固定資産税が上がることがデメリットです。
不動産会社への相談では、周辺の売却事例や購入希望者のニーズ、解体費用と売却価格の差額などを具体的に確認しましょう。たとえば、「建物付きなら2,800万円、更地なら3,200万円だが解体費用150万円」という場合、実質的な手取り額を比較して判断することが重要です。地域の建築需要や土地の形状なども考慮して、最適な選択肢を検討しましょう。
不動産売却・査定に関するよくある質問
不動産査定について多くの方が抱く疑問や不安にお答えします。査定費用や売却義務、査定価格の信頼性など、初めて査定を受ける方が気になるポイントを分かりやすく解説いたします。
Q. 査定は本当に無料ですか?費用がかかるケースは?
一般的な不動産査定は完全に無料です。机上査定も訪問査定も、基本的に費用は一切かかりません。不動産会社は売却が成立した際の仲介手数料を収益源としているため、査定段階では費用を請求しません。
ただし、特殊なケースでは費用が発生する場合があります。たとえば、不動産鑑定士による正式な鑑定評価を依頼する場合は、20-30万円程度の費用がかかります。これは裁判や相続税申告などで公的な評価書が必要な場合に限られます。
また、測量が必要な土地の場合、境界確定測量費用(50-100万円程度)が別途必要になることがありますが、これは査定とは別の作業です。通常の売却を目的とした査定であれば、追加費用を心配する必要はありません。
Q. 査定をしたら、必ず売却しないといけませんか?
査定を受けても売却する義務は一切ありません。査定は不動産の価値を知るためのサービスであり、その後の売却は完全に所有者の自由な判断に委ねられています。
多くの方が「査定を受けたら断りにくい」と心配されますが、実際には査定後に売却しない方も多くいます。「思ったより価格が低かった」「今は売却時期ではない」といった理由で売却を見送ることは全く問題ありません。
ただし、査定担当者は売却につなげたいと考えているため、積極的な営業を受ける可能性があります。この場合は「検討中のため、こちらから連絡します」と明確に伝えることが大切です。無理な営業を受けた場合は、遠慮なく断りの意思を表明しましょう。
Q. 査定価格でそのまま売れるのですか?
査定価格は売却の目安であり、必ずその価格で売れるわけではありません。実際の売却価格は市場の需要と供給のバランスや、購入希望者との交渉によって決定されます。
査定価格と実際の売却価格の関係は、市況や物件の特性によって異なります。人気エリアの物件や希少性の高い物件は査定価格を上回ることがありますが、一般的には査定価格の90-110%程度の範囲で売却されることが多いです。
また、売却期間によっても価格は変動します。早期売却を希望する場合は査定価格より低めの価格設定が必要になり、逆に時間をかけて売却する場合は査定価格以上での売却も可能です。査定価格を参考に、売却戦略を不動産会社と相談して決定することが重要です。
まとめ:賢い査定で、あなたの不動産価値を最大化しよう
不動産売却における査定は、成功への第一歩となる重要なプロセスです。物件種別ごとの査定ポイントを理解し、複数社への査定依頼と比較検討を行うことで、適正な市場価格を把握できます。
査定を成功させるポイントは、机上査定と訪問査定を使い分け、必ず3社以上の査定結果を比較することです。また、一括査定サイトと匿名シミュレーションを活用することで、効率的に相場を把握できます。
査定は無料で売却義務もないため、まずは気軽に現在の不動産価値を確認してみることをおすすめします。適切な査定により、あなたの大切な不動産の価値を最大限に引き出し、満足のいく売却を実現しましょう。




